今回も、東寺のお坊さんの法話集シリーズから、お勧め記事をピックアップしてお届けします!
アンパンマンのマーチ」~正義とは何か~2013年11月10日
『アンパンマンのマーチ』 やなせたかし作詞 三木たかし作曲 そうだ うれしいんだ
生きるよろこび
たとえ胸の傷がいたんでも
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはいやだ!
今を生きることで
熱いこころ燃える
だから君はいくんだ
ほほえんで
そうだ うれしいんだ
生きるよろこび
たとえ胸の傷がいたんでも
ああ アンパンマン
やさしい君は
いけ! みんなの夢まもるため
日本音楽著作権協会(出)許諾第2306683-301号
2013年10月13日、94歳で他界した、やなせたかしさん。漫画家を志しながら、ヒット作に恵まれず、作詞家やデザイナーや演出などのいろんな仕事を経験して、ようやく54歳でアンパンマンの絵本を出し、69歳でアニメ化されて大ブレークしました。東日本大震災後に一番多く歌われたのが、この『アンパンマンのマーチ』です。
幼くして父を亡くし、叔父夫婦に育てられた少年時代。昭和16年に徴兵され、中国へ出征しました。戦地では食料が無く、野草で飢えをしのぎ、人間にとって最もつらいのは「飢え」だと痛感したそうです。愛する弟も人間魚雷の特攻隊員となって亡くしています。
敗戦をきっかけに、やなせさんは正義とは何かと考えました。「正義とは、強い者が弱い者を武器でやっつけることではない! 同様に漫画でも、敵をやっつけて、街をこわして去っていくのは本当のヒーローではない。本当のヒーローとは、権力の下で泣いて飢えに苦しんでいる民衆を助ける人である」と悟りました。そして、困っている人がいたらすぐ飛んで行って、自分の顔をちぎってアンパンを差し出し勇気づける、か弱きヒーロー「アンパンマン」が誕生したのです。
やなせさんは言います、「絶対の正義とは、立場や国を超えて、飢えている人に食べ物を差し出す行為である。しかし、自分が傷つかないで正義は行えない。アンパンマンの歌詞は難しいが、魂に響く言葉は子どもにこそわかるのである。人生は、やりたいことを根気よく続けることが大事。そのためには毎日しっかり食べること。震災後のがれきも、一人が少しずつ片づけていけば、賛同者を得て、きっときれいになるはずである。あきらめずに、一滴の水を注いで行こう。いつかは清らかな世の中になる。絶望の隣にはきっと希望がある!」
アンパンマンは、理想の正義を貫こうとする、やなせさん自身の姿だったのですね。
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