■取材・インタビューの極意

前回、「ブックライティング」において大切なスキルは「コンセプト構築力」だと書きました。

もう一つ、ブックライティングに必要なスキルがあります。それは、「取材力」です。


ブックライティングは、著者の話を聞いて文章にするので、当然ですが、「取材」、つまり著者への「インタビュー」が必要です。そこで重要になってくるのが、ライター(または編集者)の「取材力」なのです。

「取材力」とは何でしょうか?

そこには、さまざまな要素があると、私は思います。たとえば次のような項目です。


・相手の考えていることを、いかにうまく引き出すか

・相手の考えにおいて「曖昧な部分」をいかに明確にしてあげられるか

  例:「いまのお話って、つまり〇〇は△△ということでしょうか?」「その話を、読者に対してひとことで説明するなら?」

・相手の思考を、いかに体系化してあげられるか

  例:「それって、つまりはさっきおっしゃっていた〇〇に通じる話ですよね?」「それはつまり、『〇〇の△△化』といえますよね?」「それは、よく言われる『〇〇〇』という考え方と同じですよね?」

・「概念的(抽象的)な話」を「具体的」に、「具体的な話」を「概念的」にする

  例:「その話をもう少し具体的に説明するとしたら、たとえばどんなケースですか?」「その出来事は、まさに「〇〇論」の考え方ですね」

・話がよそ道にそれそうになったら、軌道修正してあげる

  例:「なるほど。いまのお話もなかなか面白いですが、結局、本質はどこにあると思いますか?」

・逆に「余談」の方向に話を振って、相手の本音を引き出す

  例:「まあこれは余談(オフレコ)になちゃいますが、実際のところはどうなんですかねえ?」

・自分の情報も開示して、相手の情報(本音)を引き出す

  例:「お恥ずかしい話ですが、私も〇〇なんですよ。〇〇さんは、そのあたりどうですか?」


挙げればきりがありませんので、このへんに留めておきますが、インタビューというものは、場数も踏む必要がありますし、相手にもよりますし、何度経験しても、なかなか難しいものです。


ちなみに私はこれまでに、おそらく数百人の人にインタビューして原稿化した経験があります。主に「雑誌記事」用のインタビューですが、著名な方でいえば、


坂本龍一、高橋幸宏、久石譲(作曲家)、沢田研二、野口五郎、KEN ISHII、猪瀬直樹(作家・元東京都知事)、村上龍、鈴木敏夫(ジブリ・プロデューサー)、糸井重里(コピーライター)、隈研吾(建築家)、ひびのこづえ(コスチュームアーティスト)、中野裕之、宮崎駿、庵野秀明、今敏、さいとうたかを、あだち充、藤子不二雄A(安孫子素雄)、弘兼憲史、ねこぢる、江川達也、陣内孝則、村野武範、椎名へきる、林原めぐみ、三石琴乃、緒方恵美、古谷徹、山寺宏一、小原乃梨子、大山のぶ代、神谷明、三ツ矢雄二、森山周一郎、納谷吾朗、二谷英明、野沢雅子、青野武、緒方賢一、愛川欣也、ふかわりょう、飯島愛、山咲トオル、梨元勝(芸能レポーター)、ジョン・カビラ、、前田忠明(芸能レポーター)、井上公造(芸能レポーター)、森末慎二、鈴木みのる(プロレスラー)、徳大寺有恒(モータージャーナリスト)、鈴木正文(モータージャーナリスト)、湯川れい子(音楽評論家)、本広克行(映画監督)、井筒和幸(映画監督)、鏡リュウジ(占星術研究科)、中沢新一(思想家)、大前研一(経営コンサルタント)

といった感じですね。


うーん、ちょっと時代が・・・。そして、業界が・・・。

ちなみに、雑誌用のインタビューと、書籍用のインタビューは、インタビュー手法というか、取材の「コツ」がちょっと違ってきます。

そのあたりの詳しい話はまた今度。取材時の面白いエピソードなども交えて書いてみたいと思います。お楽しみに!

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