■坂本龍一さんの思い出

坂本龍一さんが亡くなったという。

ついこの間、高橋幸宏さんが亡くなったということで、ここで幸宏さんへの取材の思い出話を書いたばかりなのに。


坂本龍一さんの思い出といえば、いまから20年以上前(おそらく1998年頃)に、インタビューする機会に恵まれたことだ。

それは、新しい衛星テレビ局開局の記念番組として、音楽、映画、自然科学、スポーツなど各ジャンルの第一人者にインタビューするという企画だった。

音楽チャンネルの取材対象者が坂本龍一さんだった。


当日、インタビュー用のオフィスへ、確か電通の担当者、企画・プロデュース会社のスタッフ数人らと行くと、もう坂本さんは来ていて、別室に待機しているという。

インタビュアー役は私だ。

時間になると、プロデューサーか誰かに「じゃあ、お願いします」と言われ、みんなで坂本さんのいる部屋へ入って行き、「今日はよろしくお願いいたします」と挨拶した。

次の瞬間、「それでは後はよろしく」と言って、周囲にいた関係者は、全員部屋の外へ出てしまった。

狭い部屋に、坂本龍一さんと私のたった二人だけ。

一瞬、「えっ・・・」と思ったが、仕方がない。ここは腹をくくってやるしかない。

テーマは「グレン・グールドの魅力について」だ。


グレン・グールドについて、いろいろ質問して喋ってもらった。

おそらく1時間くらいだったろうか。

坂本さんは、ゆっくり、丁寧に、静かに話してくれた。

今となっては、どんな話をしてくれたのか、よく覚えていないが、当時グレン・グールドのことをよく知らなかった私でも、とてもよく理解できたという記憶があるので、よほど丁寧にかみ砕いて、誰にでもわかるように話してくれたのだと思う。


その後、その新規テレビ局開局の話は、諸事情によりお蔵入りとなった。

あのインタビュー映像は、記憶が定かではないが、放送されなかったのではないかな。

だとすると、あのときの坂本龍一さんの話を知っているのは、インタビューをした私と、映像の編集担当者くらいではないだろうか。


高校時代、YMOのLPを買って何度も聴いた。高校の文化祭では、みんなで「ライディーン」に合わせて踊った。高橋幸宏さんにも、坂本龍一さんにもインタビューする機会に恵まれた。

細野晴臣さんにはお会いしたことはないけれど、細野さんは大学(立教)の大先輩だ。

いろんな意味で何か縁を感じるYMOの3人。

坂本龍一さんのご冥福を祈りつつ、敬愛する細野晴臣さんには、もっともっと元気でがんばって、私たちにまだまだカッコイイ姿を見せ、カッコイイ音楽を聴かせてほしいと願ってやまない。

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